2000形電車

概要


■はじめに

 日中時間帯における見霄ヶ崎~瑞霞海港方面系統の列車を 3 両編成で運行することに伴い,2000形・2030形それぞれ 3 両 × 10 編成を導入し,2016 年 4 月 2 日 のダイヤ改定より運行を開始した.

■エクステリア


 2000形電車は,2000形・2030形共に可能な限り共通の設計とした.2000形は側引戸を片側 3 箇所とし、座席をロングシートとした.2030形は側引戸を片側 2 箇所、座席をセミクロスシートとした.

 

 先頭部は非常扉を車両に向かって左側に配する左右非対称の形状とした.これは連結両数の増加に伴い,増解結は混雑時間帯に限られると考えており、編成間を通り抜けられないことによるデメリットは小さいと考えているためである.

 (20220217追記)しかし,2 編成以上の連結時において編成間を通り抜けることができない構造は,非常事態において不都合が生じるため,今後は連結を行わない運用に優先的に投入するよう配慮する.(ここまで)

 また,先頭部はこれまでの車両とは一線を画し,曲線を用いた形状とすることにより,従来の切妻型のスタイルから脱却し,新たな瑞霞電鉄のイメージが生まれるように期待している.さらに,従来車両と異なり,屋根上にも覆いを設置して見付の向上を図った.

 

 従来は車両腰部に配した濃紅色の帯により瑞霞電鉄の車両であることを示していたが,2000形電車では配色を一新し,先頭部や肩部、裾部に濃紅色を配して全体を引き締まらせる大胆な色遣いとした.また、側引戸に黄色を配して、乗降口が一目で分かるようにしました.

 (20220217追記)黄色を配した副次的な効果として,閉扉時に側引戸に旅客の荷物が挟まれたとき,ホーム立哨する駅係員がその状況を認めやすくなったことが挙げられる.(ここまで)

 

 2000形電車では多色 LED 表示器と車外スピーカ装置を新規採用した.多色 LED 表示器は,瑞霞電鉄の多彩な種別を色で表現することが可能であるため,旅客の誤乗防止に力を発揮するものと期待している.

 車外スピーカ装置は,車外の旅客に向けた案内が行えるようになり,放送を用いて旅客に対する案内や乗務員と駅員間での業務連絡等,多種多様な使い方によって安全性の向上が期待されている.

■インテリア

 2000形では瑞霞電鉄初のロングシートを新規採用した.側引戸間の座席は 6 人掛けとし,車端部の座席は 3 人掛けとした.なお,各車両のうち多目的スペースを設けた箇所は 4 人掛けの座席とした.

 

 座席にはスタンションポールを設置することにより,着席時や立席時の補助,定員着席の促進,また安全性の向上に寄与できるよう図った.

 

 余談であるが,ロングシートの導入に際して瑞霞諸島の世論は二分した.諸島外へ出たことの無い多くの諸島民は,従来の車両のイメージから鉄道=クロスシートの考えを持っている.そのため,1両当たりの着席定員数が減少する2000形に対して否定的な意見があった.しかし,2011 年の学園支線開業以降,列車を増発しても対応しきれなくなりつつある混雑を鑑み,ロングシート車両の導入は仕方ないものであるという意見もあり,一時期は諸島内の話題をさらった.

 

 2000形電車の窓は大小2種類とし,大きい窓は固定窓、小さい窓は開閉可能とした.妻面の窓は車両間の転落防止幌の新規設置や電気配管の都合により設置していない.

 

 2000形では,下降フリーストップ式カーテンを採用した.

 

 運転室につきましては、非常用通路がオフセットとなりましたためにゆとりを持った機器配置とし、着席位置を進行方向右側に少し移動させています。

 

 機器類の項でも触れますが、運転台は瑞霞電鉄初となるT形ワンハンドルマスコンを採用しました。導入当初は慣れない操作方法に戸惑う運転士も、運転中に片手でモニタ等の各種機器を操作することが可能になった事に関しては好まれているようです。

  2030形は従来の車両と同様の2扉ですが、2030形では両開きとなりました。扉の位置は2000形と合わせてあります。車両中央部は従来の車両と同様に転換クロスシートを採用しています。ただし、扉付近は2人掛け、又は、3人掛けのロングシートとして混雑の軽減を図っています。

 

 2030形のカーテンは1800形電車と同様に灰桜色の横引き式カーテンを採用しています。

 

 その他の設備等に関しては2000形に準じています。

 

 共通の設備としまして、各車両の4位ドア・果最島造船所寄りに多目的スペースを設けています。各ドア上と車端部、ドア間にLCD式案内装置を2基ずつ設置することにより旅客案内等、様々な情報を提供できるように努めています。

■機器類

 主制御装置は、2000形・2030形と2050形・2080形にVVVFインバータ装置を各1基ずつ搭載し、それぞれ搭載車の4軸と2100形・2130形の2軸、計6軸を制御しています。

 

 補助電源装置は2100形・2130形にSIV装置を1基搭載し、3両分の補助回路を制御しています。

 

 2000形・2030形と2050形・2080形の屋根上妻面側に蓄電池を搭載しています。整流装置で作られた直流100V電流を蓄えており、SIVが故障した際には蓄えた電気を利用することにより、短時間ではありますが運転を可能としています。

 

 電動空気圧縮機は2100形・2130形に搭載して編成全体の空気をまかなっています。

 

 歯数比は3.91とかなり低く設定されており、高出力の電動機と合わせて走行中の騒音の軽減に貢献しています。

 

 2000形電車は本島の車両と同じ機器をできるだけ採用し、コストダウンに努めています。

 

 ブレーキ方式はこれまでの車両と異なり、電気指令式空気ブレーキを採用しました。これに合わせて、主ハンドルはT形ワンハンドルマスコンに変更となっています。また、従来の電磁直通ブレーキを装備した車両と併結するためにブレーキ読み替え装置を装備しています。

■性能

 従来の車両と同様、営業時における最高速度は60 km/h、加速度は2.5 km/hです。しかし、前述の通り各種機器を本島で使用されている車両と同一としたために、性能としては十分すぎるほどとなりましたが、これは運転時における余裕としています。

■おわりに

 2000形、2030形ともに10編成ずつ導入されました。広くなった運転室は初めは運転士に好まれましたが、従来の形式と運転感覚が大きく異なることから次第に不満の声が上がるようになりました。ただし、インテリアの項でも触れましたが、T形ワンハンドルマスコンは概ね好評のようです。

 

 また、ロングシート部の座席は本島の車両と同様とした結果、背中までしか背もたれが無いことにより旅客から苦情が相次いだため、2200形電車以降は改善されることと思われます。

主要諸元表


 

2000形

2050形 2100形 2030形 2080形 2130形
定員

97人

(座席28人

+立席69人)

97人

 

(座席28人

+立席69人)

108人

 

(座席34人

+立席74人)

92人

 

(座席36人

+立席56人)

92人

 

(座席36人

+立席56人)

101人

 

(座席57人

+立席44人)

重量

34.7 t 32.7 t 34.6 t 34.7 t 32.7 t 34.6 t

 連結面間距離

14 650 mm

車体長

14 200 mm 14 050 mm 14 200 mm 14 200 mm 14 050 mm 14 200 mm

車体幅

2 750 mm

車体高

4 000 mm

台車中心間距離

8 650 mm

固定軸距

2 000 mm

主電動機

200 kW × 4 / 両

制御方式

IGBT-VVVFインバータ制御

加速度

2.81 km/h/s (0.781 m/s^2)

減速度

5.0 km/h/s

最高運転速度

60 km/h

車体

先頭部:FRP、その他:ステンレス

台車

車体支持装置 インダイレクトマウント式
軸箱支持方式 積層ゴム片支持式
ブレーキ方式 電気指令式空気ブレーキ(ブレーキ読み替え装置付)